2019年8月23日金曜日

[Mac]「Voiceover」と「スピーチ」の併用で、作業効率アップ。(おまけ付き)


Voiceoverに限らず、スクリーンリーダーでの作業の欠点の一つとして挙げられるのは、「アウトプットがシングルタスク」であるということでしょう。画面が見えていれば、複数の情報が同時に視界に入ってきますが、スクリーンリーダーでは基本的に現在フォーカスしている部分だけを音声で読み上げます。
例えばVoiceoverでWeb記事を読んでいる間は、他の作業はできません。読み上げ中に他の作業を行うと、読み上げがキャンセルされ、次の読み上げに移行してしまいます。
確かに、アプリやウィンドウを切り替えるたびに複数の音声がミックスされてしまうと、聖徳太子でもない限り、内容を理解することは難しいでしょう。これは視覚と聴覚の情報処理能力の違いによるものなので、ある程度は仕方がないことなのかもしれません。

でも、記事を読みながらメールチェックやFinderでファイルの整理くらいできれば便利なのにな、と思ったことはないでしょうか。VoiceoverとmacOSの「スピーチ」を同時に利用することで、それっぽいことができるのです。

ではまず、スピーチの設定を確認しましょう。
なお、Voiceoverはすでに設定されているという前提です。
「システム環境設定」>「アクセシビリティ」を開き、「アクセシビリティ機能」のリストから「スピーチ」を選択すると、設定項目が表示されます。

  • システムの声:読み上げる声を設定します。「カスタマイズ」で声を追加できます。
  • 読み上げ速度:スピーチの読み上げ速度を設定します。
  • 音声通知を有効にする:チェックを外します)ヴォとかぶるため)
  • キーを押したときに選択しているテキストを読み上げる:チェックをいれます。
  • 現在のキー:ショートカットキーを確認します。「変更」をクリックして別のキーを指定できます。

スピーチの設定が終わったら、早速テキストを読み上げさせてみましょう。
スピーチは基本的に「選択したテキスト」を読み上げます。Safariやテキストエディットなどで読み上げさせたいテキストを選択し、スピーチで設定したショートカットキーを押せば、読み上げが始まります。もう一度同じキーを押せば読み上げを停止、またControlキーで読み上げの一時停止/再開ができます。
例えばSafariで記事をスピーチで読ませるなら、Command+Chift+’R’でリーダーを開き、Command+’A’で全テキストを選択。スピーチキーで記事全文が読み上げられます。
またテキストエディットなど、一部のアプリではテキストエリアにフォーカスしてスピーチキーを押すだけで、テキストを選択しなくても、先頭から末尾まで読み上げられる場合もあるようです。色々試してみましょう。

Voiceoverユーザーとして特筆したいのが、スピーチの音声とVoiceoverの音声が「同時に再生される」という点でしょう。
これなら、スピーチを使って長文テキストをバックグラウンドで読み上げさせながら、Voiceoverで他のアプリに切り替え平行作業ができます。2つの音声を同時に理解するには慣れと訓練が必要ですが、Finderの操作くらいならさほど難しくはないでしょう。

これまで記事を読み終えるまでは他のちょっとした作業もできなかった時と比べれば、作業効率はかなりアップするのではないでしょうか。
1回で節約できる時間はわずかでも、積もり積もれば大きな時間の節約になるはずです。

個人的なコツとしては、スピーチの声はVoiceoverとは別のものを指定する、スピーチの音量はシステム音量に準じるため、バランス調整はVoiceover側で行う、という感じでしょうか。またバックグラウンドでスピーチさせている時にControlキーを押すと、スピーチが停止してしまい、再開できなくなる点は注意が必要かもしれません。これ、バックグラウンドのスピーチをホットキーでコントロールできれば、Safariで記事を読ませながらメモを取る、みたいなことができそうなんですけど。方法知っている方いらっしゃいますか?

また、Voiceoverとスピーチを併用して、2つの言語のスピーチを素早く使い分ける、という活用法もあります。
macOSのVoiceoverでは複数のスピーチ言語をインストールしておき、Voiceoverの声を「言語に基づいて自動的に選択」に設定すれば、コンテンツの言語設定に応じて読み上げ音声を自動的に切り替えてくれる機能があります。
例えば日本語のWebページなら「Otoya」、英語のWebページなら「Daniel」で読み上げといった具合。
ですがこの機能、筆者の体験の範囲ですがあまり思うようにはどうさしてくれません。結局、英文を読み上げるにはいちいち声の設定ローテーション(VO+Command+Shift+矢印キー)を開いて切り替えなければならず、結構面倒です。
なので普段は日本語音声「Otoya」や「Kyoko」で読ませてるのですが、彼らのローマジ英語発音は正直厳しいものがあります。

ところがスピーチに英語の声を設定しておけば、Voiceoverの設定を変更しなくても、即座に英語音声でテキストを読み上げることができるのです。再生スピードもVOとは別に設定できるので、筆者のようにリスニングが苦手なら、ちょっと遅目に設定しておくとわかりやすいですよ。

というわけで、Voiceoverユーザーも「スピーチ」を上手に活用すると色々便利ですよ、というお話でした。

※この記事はmacOS 10.14.6で検証・執筆しました。

ひとまずブログを統一します

BloggerがVoiceoverで非常にアクセスしにくくなってしまったため、しばらくはMac関係の記事も メインのブログ にエントリーすることにしました。ブログの切り替えが非常に難しいんですよ。 改善されればまたこちらにもエントリーするかもしれませんが。 よろしくお願いします。