2019年10月27日日曜日

[Mac]「句読点レベル設定」と全角句読点・記号の読み方の謎に迫る。(調査編)


スクリーンリーダーは、パソコンやスマートフォンに表示される文字を音声で読み上げてくれる、視覚障害者の情報取得には欠かせないソフトウェアです。ただ「文字を読み上げる」といっても、句読点やカッコなどの記号、開業やスペースといったすべての文字を読み上げてしまうと、非常に聞き取りにくいことになります。そのため、スクリーンリーダーには、このような句読点の読みを省略して、内容を聞き取りやすくしてくれる機能が搭載されています。

macOSのVoiceoverでは、「句読点レベル」を設定することで、この句読点の読み上げ方(読み上げる量)を設定することができます。設定を変更するには、Voiceoverユーティリティの「詳細度」にある「テキスト」タブ、もしくは「VO + V」で詳細度ローテーションを開き「すべて」「一部」「なし」から、句読点の読み上げレベルを選択します。
macOS Catalinaでは、句読点の読み方をカスタマイズすることもできるようになりました。

ただ筆者の個人的な印象として、この句読点レベルの設定でどの句読点・記号が読み上げられるのか、今一つ判然としていない感じでした。今回加わったカスタム句読点レベルの設定画面を開くと、半角記号の読み上げ方を確認できるようになり、これまでの疑問が少し解消されました。あくまでも半角記号に関しては。

一方で、日本語(全角文字)の句読点や記号の読み方と、この句読点レベルの関係は確認できず、いまだに謎です。
少なくとも現状ではレベルを「なし」にすると全く読まない、「すべて」にすると全部読む、みたいな単純なことにはなっていません。

Webやドキュメントを読むのであれば、多少句読点が省かれても内容を把握することに問題はありませんが、自分の書いた文章をチェックする場合、すべての句読点や記号が読まれないと、タイプミスを音声でチェックできません。
カッコを逆につけてしまったり、二重に記号をタイプする、なんてこともありますし、うっかり記号を消去し忘れルコともしばしば。この記事にもきっと、そのようなミスが存在することでしょう。
もちろん1文字読みで延々とチェックすることはできますが、連続読みですべての文字を確認できる方が効率的です。よほど特殊な文字は別として、キーボードから普通に入力できる文字は、読み上げて欲しいものです。

できるのなら今回追加されたカスタム句読点レベルを使い、すべての句読点や記号を連続読みで確認できる環境を構築したいところです。
というわけで、今回はその前段階。
現時点で句読点レベルの設定が、句読点・記号の読み方にどのように影響しているかを調べてみます。
一般的に用いられる句読点と記号を書き出し、まず単独で句読点レベルごとの読む/読まないを調査。加えて句読点・記号の前後に文字が付いたケースも調べてみました。
念を押しますが、今回は「全角」に限定した調査です。

ではいってみましょう。
前もっていっておきますと、結構複雑です。
あと何も解決してません。

1.前後の文字列に関係なく、
句読点「なし」以上で読まれる

$ ドル
% パーセント
¥ エン
@ アット
< ショウナリ
~ チルダ

2.単独もしくは文字列の前にあると「なし」以上でで読むが、
文字列の後ろに付くと「なし」「一部」で読まなくなる

! カンタンフ
? ギモンフ

3.単独もしくは文字列の前にあると「なし」以上でで読むが、
文字列の後ろに付くと「なし」「一部」「すべて」で読まなくなる

; セミコロン
. ピリオド

4.単独では「なし」以上でで読むが、
文字列の前後いずれかもしくは両方に文字が付くと
「なし」「一部」「すべて」で読まなくなる

+ プラス

5.句読点を「一部」以上にすると読まれる

・ 中黒

6.句読点を「すべて」にすると読まれる

” ミギニジュウインヨウフ
# シャープ
& アンパサンド
’ ミギヒトインヨウフ 
( ヒダリマルカッコ
) ミギマルカッコ
, カンマ
。 句点
、 読点
開業コード

7.句読点を「すべて」にしても読まれない
つまり1文字読みでしか確認できない

^ キャレット
> ヨリオオキイ
_ アンダースコア
| タテボウ
「 レフトコーナーブラケット
『 レフトホワイトコーナーブラケット
」 ライトコーナーブラケット
』 ライトホワイトコーナーブラケット
` アクセント
: コロン
* アスタリスク
- ハイフン
スペース

8.その他のパターン

ー 音引き
音引きは、デフォルトでは「すべて」にしても読まれませんが、
「読み方」に登録すると「なし」でも、あるパターンで読むようになるようです。
単語に含まれる音引きは読まれません。例えば「コンピューター」だと、最後の音引きだけ読まれます。

/ スラッシュ
全角スラッシュは、基本どの句読点レベルでも読まれません。
ちょっと気が付いたのは、全角スラッシュの後ろだけに文字が付く場合。このパターンでは、付けられた文字列の末尾の数文字が繰り返して読み上げられる現象が発生するようです。これはバグかな?
例えば次の文字列。先頭に全角スラッシュ、それに続いて「あいうえお」と続きます。

/あいうえお

句読点レベル「なし」「一部」では「あいうえおうお」と読まれている(多分)。「すべて」にすると「あいうえお改行改行」と読まれます。スラッシュの前に文字列があればこの現象は発生しませんが、その文字が全角スペースだと発生します。
あ、あくまでもmacOS CatalinaのVoiceoverでの話ですよ。

というわけで、ここまで調べて力つきました。
正直、ここまでカオスなことになっているとは思いませんでした。「大なり」と「小なり」、「コロン」と「セミコロン」で何故扱いが違うのか。「一部」の設定の意味とは。
実はこの他にも、句読点と記号同士が隣り合う、同じ記号が連続するパターンでも読み上げが変わる場合があり、もしかしたら、句読点・記号に付く文字の種類によっても挙動が違ってくるかもしれませんが、気力が戻ったら試してみます。何処かにアルゴリズムを解説した資料があればいいのですけど、どなたかご存知でしたらご一報ください。

さて、以上の調査結果を踏まえ、Catalinaの「カスタム句読点」で目的の「全部読み」環境が手に入るのか?
まだ試してないのでわかりません。
乞うご期待。多分。

※この記事の内容はmacOS Catalina 10.15で検証したものです。


ひとまずブログを統一します

BloggerがVoiceoverで非常にアクセスしにくくなってしまったため、しばらくはMac関係の記事も メインのブログ にエントリーすることにしました。ブログの切り替えが非常に難しいんですよ。 改善されればまたこちらにもエントリーするかもしれませんが。 よろしくお願いします。