Voiceoverで扱う3種類のカーソル
macOSをVoiceoverで操作する場合、3種類のカーソルを用いてさまざまな作業を行います。まずそれぞれのカーソルについて軽く解説しましょう。
・キーボードカーソル
キーボードの操作対象を示すカーソルです。
テキストを入力したり、範囲選択するときに用いられます。
・Voiceoverカーソル
Voiceoverコマンドで操作するカーソルです。
カーソル位置にある要素を読み上げたり、クリック操作などを実行する対象を示します。
以下「VOカーソル」と略します。
・マウスカーソル
マウス/トラックパッドで移動し、
クリックやスクロールなどの操作を実行するカーソルです。
基本はカーソル追従オンで使う
Voiceoverユーザーにとって重要となるのは、「キーボードカーソル」と「VOカーソル」の2つでしょう。
デフォルト設定の場合、このふたつのカーソルは同期して移動します。
つまりVOカーソルを移動させると、キーボードカーソルもその位置に移動しますし、
Tabキーで入力フォームを移動させると、VOカーソルもその位置に移動します。
この状態が「カーソル追従オン」です。
カーソル追従の設定は、Voiceoverユーティリティ) VO + F8)を開き、
「ナビゲーション」設定にある
「キーボードの操作対象とVoiceOverカーソルを同期」に
チェックを入れると「追従オン」、チェックを外すと「追従オフ」に設定されます。
カーソル追従オンなら、Voiceoverで読み上げた項目がキーボードの操作対象になるため、カーソルの位置について迷うことはありません。
基本的に、カーソル追従はオンに設定しておきましょう。
なお、ここでは、マウスポインタとVoiceoverカーソルの同期も設定できます。
「マウスポインタ」のプルダウンをクリックし、以下の設定から選択します。
・VoiceOverカーソルに追従
VOカーソルを動かすと、マウスポインタがその位置に移動します。
目視でのマウス操作を行わないならこの設定にしておき、クリック操作が必要な時はVoiceoverコマンド(VO + Shift + スペース)でクリック操作を実行できます。
・VoiceOverカーソルを移動
マウスポインタを動かすと、VOカーソルがその位置に移動します。
ロービジョンのユーザーで、目視でのマウス操作が中心なら、このオプションを設定してポインタの下の項目を読み上げさせる、という使い方ができます。
ただ、この機能よりは、アクセシビリティの「ズーム」にある「ポインタを項目に重ねたら読み上げる」の方が便利かもしれません。
・VoiceOverカーソルを無視
マウスポインタとVOカーソルは同期しません。
Voiceoverで項目を読み上げさせつつ、マウスポインタでスクロールなどの操作を同時に行う、といった使い方をするならこの設定を使います。
カーソル追従オフが便利なケース
カーソル追従オンの状態では、前述の通り
読み上げられた場所とキーボード操作対象が一致するため、カーソルの位置に関しては迷うことはありません。
しかし、一部のケースでは、カーソル追従をオフにすることで、操作を効率化させることが可能です。
代表的な例として、「テキストエディット」でリッチテキストを編集するケースが挙げられます。
カーソル追従オンでテキストを編集していて、フォントやスタイルをツールバーから変更しようとすると、いちいちVOカーソルを動かしてツールバーまで移動し、設定が終わったら編集エリアに戻ってこなければならず面倒です。
この作業をカーソル追従オフで行えば、VOカーソルをツールバーに置いたままテキストの編集が続けられるため、作業効率が飛躍的にアップします。
まあテキストエディットの場合はショートカットキーである程度作業はできますが、似たようなアプリケーションの中には頻繁にツールバーへアクセスしなければならないものもあるので、カーソル追従オフの効果は大きくなるはずです。
カーソル追従の設定は、Voiceoverユーティリティで変更する方法以外に、VOコマンドで一時的にオン/オフを切り替えることができます。
VO + Shift + F3
を押せば、カーソル追従が一時的に切り替わります。
Voiceoverユーティリティの設定は変更されません。
上記のテキストエディットを例にすると、
1. リッチテキストで編集を開始する
2. VO + Shift + F3を押して追従オフにする
3. VO + 左右矢印で、VOカーソルをツールバーに移動する。
ここでキーボードカーソルとVOカーソルの位置が分離される
4. VOキーを離せば、テキスト編集に戻れる
5. VO + 左右矢印、VO + スペースでツールバーを操作
6. 編集が終わったら、カーソル追従をオンに戻す
という流れになります。
VOキーでテキスト編集とツールバーの操作を瞬時に切り替えられるので、非常に便利です。
用途に合わせてカーソルを操ろう
カーソル追従をオフにしてメリットがあるのは、
同一のウィンドウ内に、テキストを編集するエリアと、VOカーソルで読み上げ/操作する要素が同居しているケースでしょう。
他にもこのようなケースも考えられます。
・SafariでTwitterやFacebookに投稿する時に、タイムラインやトレンドを読みながらテキストを編集する。
・メッセージで、投稿フォームにキーボードカーソルを置いたまま、メッセージのやりとりをVoiceoverで読む。
・検索フォームにキーボードカーソルを置いたまま、検索結果をVoiceoverで読み上げる。
はじめのうちは、カーソル追従をオフにすると操作が混乱するかもしれませんが、
慣れてくると、ふたつのカーソルを自由自在に捌けるようになり、作業効率は格段にアップします。
ぜひ一度お試しください。
※この記事はmacOS 10.13.5で執筆しました。
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