2021年2月20日土曜日

ひとまずブログを統一します

BloggerがVoiceoverで非常にアクセスしにくくなってしまったため、しばらくはMac関係の記事もメインのブログにエントリーすることにしました。ブログの切り替えが非常に難しいんですよ。

改善されればまたこちらにもエントリーするかもしれませんが。

よろしくお願いします。


2020年1月23日木曜日

[Mac] 新しいMac版EdgeブラウザをVoiceoverで使ってみました。


米Microsoftは現地時間2020年1月15日、Chromiumベースの「Microsoft Edge」の正式版をリリースしました。(関連ニュース)Windows版とともに、Mac版も同時にリリースされ、ダウンロードして利用できます。

Edgeの新機能やセットアップなどについてはこことかここあたりの記事を参照していただくとして(手抜き)、本エントリーではMacをVoiceoverで使っているユーザーとして、スクリーンリーダー環境におけるEdge正式版の第一印象や使い勝手の感想などを書いてみたいと思います。

実際のところ、VoiceoverユーザーにとってWebブラウザは最も利用するアプリだけに選定に悩むところです。筆者の環境だけという可能性はありますが、CatalinaにアップデートしたところSafariはVoiceover環境で不具合が頻発、Chromeはどんどん動作が重くなり、騙し騙し日々Mac生活を過ごしているというのが現状なのです。ちなみにFirefox、Voiceoverで使ってる型いらっしゃいますかね? まともに使える印象がないのですが……。

さて新しいEdgeはChromiumベースということで、ある程度クオリティは予想できますが(一応開発版も使っていましたし)、果たしてどこまでVoiceoverで実用的なものに仕上がっているのか気になります。とりあえずリリースから一週間ほど使ってみましたのです。

なおこの記事で使用したEdgeのバージョンは79.0.309.71、macOSのバージョンは10.15.2です。

Voiceover使用時のパフォーマンスは?


EdgeをVoiceoverで操作するにあたり、まずウィンドウのナビゲーション階層を確認しておきましょう。階層の行き来は「VO+Shift+上下矢印」ですよ。

1.Microsoft Edge グループ
2-1.タブバー:タブの管理をします。
2-2.アプリバー:アドレス、ナビゲーション、Edgeの各種機能へアクセスします。
2-3.お気に入りバー:登録したお気に入りへアクセスできます。
2-4.Webコンテンツ:Webコンテンツが表示されます。

という感じで結構シンプルです。SafariやChromeと比べるとUIは整理されているという印象。音声読み上げや翻訳など臨時的にポップアップするツールウィンドウはありますが、基本的にタブバーとアプリバー、Webコンテンツを中心に操作するので迷うことは少ないでしょう。また、お気に入りバーを使用しないのであれば「表示」メニューから無効にすることができます。

基本的なショートカットキーは、SafariやChromeと共通のものが使用できるので、これらのブラウザを使っているなら操作にはほぼ違和感がありません。パフォーマンスもSafariやChromeと比べると気持ち軽快な気がします。特にWebコンテンツのレンダリングはChromeよりも明らかに高速。低スペックマシンを使ってる筆者のような環境では超重要なポイントです。でもそのうち重くなるのかなあ。

Voiceoverの読み上げは概ね良好ですが、テキストフィールドやコンボボックスにカーソルが当たった時に効果音が再生されない、ショートカットメニュー(VO+Shift+"M")を開いた時に項目数を読み上げない、アドレスバーから検索ワードやURLを入力した時などWebコンテンツにフォーカスが移動しない場合があるなど細かい部分で気になるところがありました。
ただいずれも慣れれば支障はありませんし、そのうち改善されるでしょう。
Safariのように特定のページでフリーズしたり、テキストフィールドに日本語を入力するたびに「選択項目が置き換えられました」と連呼したりしないので快適です。

自動翻訳機能が超絶便利。


Edgeには翻訳機能も標準搭載されています。
Webを表示させたらアプリバーの「翻訳オプションの表示」をクリックし、「翻訳」ボタンでWeb全体を翻訳します。基本的に言語は自動判別されますが手動で設定することもできます。

翻訳の品質はなかなか良好。おそらくMicrosoftの翻訳エンジンを使っていると思うのですが、Google翻訳と比べても遜色のない自然で読みやすい訳文が表示されます。
翻訳オプションから「元の言語に戻す」をクリックすれば原文表示に戻ります。

さらにEdgeの翻訳機能には、英語ページを読み込んだ時、自動的に翻訳してくれる機能があり、これがとっても便利。翻訳オプションにある「英語 のページを常に翻訳する」にチェックを入れれば、以降英語のページが読み込まれるタイミングで自動的に日本語に翻訳されます。
翻訳機能にショートカットキーが設定されていないのが不便だなあと思ったのですが、この自動翻訳機能の存在はそれを補ってあまりある便利さです。
できれば他の言語でも使いたいなあ。
あとやっぱりショートカットキーも使いたいなあ。

イマーシブリーダーでWeb本文を抽出。


EdgeというかMicrosoftが近年力を入れているアクセシビリティ機能がイマーシブリーダーです。直訳すると「没入型リーダー」という感じでしょうか。Safariのリーダー機能のようなものですがさらに多機能みたいです。ちなみにOfficeやOneNoteなどにも採用されています。

Webを開き、アプリバーにあるイマーシブリーダーのボタンをクリックすると、Webの記事本文が抽出されリーダー表示に切り替わります。ただWebによって対応していない場合があり、その時はこのボタンは表示されません。
表示を元に戻すには、アプリバーのボタンをもう一度押します。

元々は学習支援のために開発された機能とのこと。特にディスレクシアなどの学習障害を含む発達障害を持つユーザーが、コンテンツに集中し理解するための助けをしてくれる様々なツールが用意されています。
ただ筆者は全盲なので、そのほとんどの機能は利用できないのです。でもWebの本文を抽出する機能だけでも便利です。ショートカットキーで切り替えられればもっと便利なのになあ。と思ったりします

音声読み上げ機能も搭載。


またEdgeには音声読み上げ機能も内蔵されています。
Webを表示させメニューバーの「ツール」>「音声で読み上げる」>「オンにする」を開くと、Webの内容を読み上げます。またWebコンテンツ内でショートカットメニュー(VO+Shift+"M")を開き「音声で読み上げる」から読み上げを開始することもできます。

読み上げ中は音声コントロールパネルにVoiceoverカーソルがフォーカスします。「閉じる」を押せば読み上げを終了、ここから読み上げる段落のスキップや音声の速度、声の設定も可能です。
ちなみにEdgeからの音声はVoiceoverとは独立して再生され、バックグラウンドでも使用できるので、Webを読み上げながら他の作業ができたりします。またイマーシブルリーダーと併用することもできます。

ただ現時点で日本語音声は「Haruka Online」しか用意されておらず、Voiceover拡張音声と比べると音質は良くないのが残念。またイマーシブルリーダーと同様こちらもショートカットキーでは操作できないようです。

メインで使えるクオリティと機能。


まだ使い始めて日も浅く、全ての機能を使いこなせているわけではありませんが、VoiceoverユーザーとしてEdgeはなかなか使いやすいブラウザという印象を持っています。特にレンダリングの速度や自動翻訳機能は、海外のページをよく読む筆者にはかなり快適と感じています。今使ってるMacBook ProがMid 2012なのでChromeはとっても重いのですよね。SafariはVoiceoverの不具合があるしフリーズする海外のページも結構あったりします。Edgeに乗り換えたらかなりストレスが減りました。

ただiPhoneユーザー的にはタブ同期やキーチェーンなどiCloudを経由したサービスは使いたいので、ある程度Safariの必要性は残ります。しばらくはEdgeをメインに、Safariと併用しつつ使っていこうと思っています。ちなみにデフォルトのWebブラウザはシステム環境設定の「一般」から変更可能です。あと筆者が使っているRSSリーダー「Readkit」では外部ブラウザを決め打ちできるのでこちらと組み合わせるのも便利かもしれません。

もちろん使用する環境やブラウザに要求する機能はユーザーごとに異なりますから、万人にお勧めできるわけではありませんが、海外(特に英語)のページを翻訳して読むことが多いならEdgeは試してみる価値は大いにアリでしょう。

以下はEdgeへの要望。
スクリーンリーダーユーザーとしては、ショートカットキーが割り当てられていない機能が多いのが残念。翻訳やイマーシブルリーダーがショートカットキーで使えればもっと快適なのになあ、と思ってしまいます。
あとChromeに実装されている、Web上の画像を解析してテキストや画像説明文を生成する機能もぜひつけて欲しいところです。素人考えですがSeeing AIも使ってる自前のAzure Cognitive ServicesをもつMicrosoftなら難しくないはず。勝手に信じてます。これこそMSの強みだと思ってますしね。


とにかく、正式リリースからなかなかのクオリティを発揮したEdge。完全にSafariを置き換えることにはならないとは思うのですが、従文メインで使えるブラウザに仕上がっているのではないでしょうか。今後の開発にも期待です。

2019年11月23日土曜日

[Mac] いま何時? 現在時刻を音声で確認する方法。


画面を見ずにMacを使いこなすVoiceoverユーザーにとって「現在時刻をいかにして知るか」はちょっとしたテーマです。画面が見えていれば、メニューバーに視線を向けるだけで時刻がわかりますが、音声が頼りのVoiceoverユーザーは、そういうわけにはいきません。まあMacの傍に、音声時計やスマホを置いておく方法もありますが。

というわけで、Voiceoverユーザーが現在時刻を音声で確認する方法を、いくつか紹介しましょう。

Siriに聞く


一番手っ取り早いのは、Siriに時間を聞く方法でしょう。
デフォルト設定では「Option+スペース」を長押ししてSiriを起動し「いま何時>」と聞けば、時間を教えてくれます。同様に「今日は何日?」と尋ねれば、日付と曜日を教えてくれます。ESCキーを押して元のウィンドウに復帰させましょう。
ただSiriの音声はスピードがゆっくりなので、人によってはちょっと聞きにくいかもしれませんね。

メニューバーの時計にVoiceoverカーソルを合わせる


macOSのデスクトップ右上にあるステータスメニューには、時計が表示されています。ここにVoiceoverカーソルをフォーカスすれば、その内容を読み上げて現在時刻を知ることができます。読み上げる内容(日付、曜日を含めるなど)はシステム環境設定の「日付と時刻」で設定することができます。

では時刻を読ませてみましょう。
Voiceover修飾キーを押しながら「M」を2回押せば、「Menu Extra」と読み上げ、ステータスメニューへ移動します。VO+左右矢印で時刻表示にフォーカスすれば、時刻を読み上げてくれます。ESCキーで元のウィンドウへ復帰します。

ここでVoiceoverならではのテクニックをひとつ。時刻を読み上げたら、すかさず「VO + Shift + C」を押すと、日付や時刻がクリップボードへコピーされます。少し余計な情報も含まれますが、書類の中に日時を入れたい時に使うと便利かもしれません。

ホットスポットを使う


時刻を調べるたびにステータスバーへ移動するのは少々手間ですよね。そこでVoiceoverの便利機能「ホットスポット」を活用しましょう。これはVoiceoverカーソルの位置を記録し、Voiceoverコマンドでその場所へ移動したり、内容を読み上げることができる機能です。詳しくはこのエントリーをご覧ください。一部内容が古くなってますが。

例えばステータスメニューの時計を、ホットスポット5へ記録して読み上げさせてみましょう。Voiceoverカーソルを時計にフォーカスさせたら、
「VO + Shift + 5」を押します。
「ホットスポット5として保存されました。」と読み上げられれば成功です。あとは、
「VO + Command + 5」を押せば、時計の内容を読み上げるはずです。
コマンド一発で時刻が分かるので、とても便利ですよ。

さらにいっぽ進めて、作成したホットスポットをコマンダーに登録する方法もあります。コマンダーにはテンキー、キーボード、トラックパッドがありますが、それぞれのコマンダーにホットスポットを割り当てれば、より簡単に時刻の読み上げが可能になります。筆者はテンキーコマンダーを愛用していますが、キーストローク一発で時刻を知れるので重宝しています。

おまけ:時報を設定する


macOSには、一定時間ごとに時刻を読み上げる「時報」機能が搭載されています。設定により15分、30分、1時間ごとに音声で時間を教えてくれます。この音声はVoiceoverとは別の音声を指定できるので、通常の読み上げと区別しやすいのも良いですね。もちろん時報でVoiceover読み上げがキャンセルされることもありません。

では時報を設定してみましょう。
「システム環境設定」を起動して「日付と時刻」を開きます。「日付と時刻」タブの中にある「時報をアナウンス」にチェックマークを入れて、プルダウンメニューから時報の頻度(15分、30分、1時間(を設定します。
時報を読み上げる音声は「声の種類を変更」をクリックして、声、速さ、音量を変更できます。


※この記事はmacOS 10.15.1で執筆しました。

2019年11月22日金曜日

[Mac] Voiceoverセッション@Apple Store新宿の覚え書き。


みなさんは「Today at Apple」をご存知ですか?
これはAppleの直営店「Apple Store」で定期的に開催されている、Apple製品を使ったさまざまな体験やスキル学習ができる無料のイベントです。

Today at Appleでは「セッション」という形で、写真撮影やビデオ作成、コーディングなど、多彩なカテゴリの講座が開催されていますが、その中にはアクセシビリティを扱うセッションも豊富に用意されています。視覚だけでなく聴覚や運動、学習障害のある当事者や支援者を対象に、アクセシビリティ機能を使ってApple製品を活用する基本的な方法を学ぶことができます。すでに製品を使っているユーザーはもちろん、障害者支援にApple製品を導入したいと考えている方にも良い機会となるでしょう。専門知識を持つスタッフが、懇切丁寧にレクチャーしてくれます。

iPhoneやiPadと比べると数は少ないものの、Macのアクセシビリティ・セッションも定期的に開催されており、筆者も先日Apple Store新宿店で開催された⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠「MacのためのVoiceOverを使ってみよう」というセッションに参加してきました。
筆者はMac歴はそこそこ長いものの、ことVoiceoverに関しては独学と試行錯誤と根性で習得してきたので、ここで改めて基本を学びつつ、MacのVoiceover普及に役立てられると良いかな?と思った次第です。

セッションへの参加は「Today at Apple」の各ページから申し込むことができます。名前とメールアドレスを登録するだけなので簡単です。私は試してませんがApple IDでログインして申し込むこともできるようです。
確認のメールが届いたら、あとは当日Apple Storeを訪問すればOK。時間になると店内放送でセッションの開始がアナウンスされるので、そこで名前を告げれば案内してくれます。なお席数に余裕があれば、飛び入りでも参加できるようですが、確実に参加を希望するなら予約しておいた方が良いでしょう。
セッションで使用する機材は自分のものを持ち込むか、お店で用意してくれるマシンを利用することもできます。筆者のMacBookはバッテリーがお亡くなりになっていて外に持ち出すことができないためお店のMacBook Pro(13インチ、TouchBar搭載)をお借りしました。

さて、ここから90分のセッション開始です。
大まかな流れはこんな感じでした。。

  1. 簡単な自己紹介
  2. MacBookのキーボード配列を確認する
  3. Voiceoverを有効にする(Command+"F5"、Siri)
  4. Voiceover就職キー(VOキー)を覚える(Control+Option、またはCapsLock)
  5. Dockを操作して、アプリケーションを開く(VO+"D"、VO+左右矢印、VO+スペース)
  6. Voiceoverナビゲーションの基本(VO+左右矢印、VO+Shift+上下矢印)
  7. Voiceoverでメニューバーを操作する(VO+"M"、"M"、VO+矢印)
  8. 項目選択メニューから操作する項目を探す(VO+"U")
  9. Safariを使ってWebをブラウズする(項目洗濯でリンクにジャンプ)
  10. 各種リソースの紹介( コマンド一覧、MacBook電子マニュアルなど)
  11. 質問コーナー

ここでタイムアップ。
それぞれの内容ごとに、Macの基本的なショートカットキー(Command+"S"、"W"、"Q"など)も交えつつ、キーボードと音声だけでMacを操作する方法をレクチャーしてくれます。短い時間ながら、Voiceoverを用いたMacの操作方法の基本が体験できる感じですね。
特にMacにおけるVoiceoverの特徴ともいえる、グループ化された(入れ子状になっている)コンテンツを、VO+Shift+上下矢印キーで階層へ入ったり出たりするナビゲーションは比較的丁寧に説明してくれました。
もちろん初めてVoiceoverに触れるユーザーが、すぐに使いこなせるようになるかといえば正直難しいとは思いますが「音声とキーボードだけでMacは操作できる」ことが体験できるだけでも有意義なセッションといえるでしょう。ネットを含め、MacのVoiceoverに関する情報は極めて少ないですしね。

筆者としてはそれなりにVoiceoverを使っているつもりだったのですが、MacBookのキーボード配列に悪戦苦闘してしまい、結構いっぱいいっぱいになってしまいました。普段はWindows用のUSBキーボード(RealForce)に凸点シールを貼る、というぬるい環境に慣れていたことが仇となってしまったようです。もちろんAppleの方が丁寧に教えてくれるのですが、何せホームポジションの凸点が小さ過ぎて(言い訳)。
どうやら今回、「文字入力」という内容もあったみたいなのですが、キーボードが全然打てない筆者を見かねて、スキップしていただきました。なおキーボードの持ち込みもできるようです。
あとショップにもよると思いますが、今回はお店の片隅にあるオープンスペースっぽい場所だったため、店内の音が結構入ってきます。イヤホンなどを準備しておくとVoiceoverの音声が聞き取り安いかもしれません。

最後の質問コーナーは、今回のセッションの内容以外の質問もできるということなので、ここぞとばかり日本語IMEの変換候補の先頭を説明しないこと、日本語の詳細読みをしてほしいことをお話ししました。時間は短いですが。、予め聞きたいことを用意しておくと、もしかしたら質問や要望を伝えられるかもしれません。Appleの中の人、それもVoiceoverの知識を持つ方と直接情報を交換できる貴重な機会ではないかと思います。サポートに電話しても、必ず霜VOに詳しい人が対応してくれるとは限りませんからね。

というわけで、意外と歯応えを感じたセッションでした。Voiceoverを用いる上で最低限知っておくべき情報がコンパクトにまとめられているので、当事者にレクチャーする立場の方にも参考になるでしょう。
個人的には、さらに高度なセッションを希望したいところです。その時には絶対、愛用のRealForceキーボードをかついで出席したいと心に誓うのでした。

担当してくださった方によると、MacのVoiceoverセッションはなかなか人が集まりにくいとのこと。この貴重な機会を失わないためにも、ぜひ興味があればお誘い合わせの上参加してみてはいかがでしょうか。
お店で最新のApple製品を触るのも楽しいですよ。

2019年10月27日日曜日

[Mac]「句読点レベル設定」と全角句読点・記号の読み方の謎に迫る。(調査編)


スクリーンリーダーは、パソコンやスマートフォンに表示される文字を音声で読み上げてくれる、視覚障害者の情報取得には欠かせないソフトウェアです。ただ「文字を読み上げる」といっても、句読点やカッコなどの記号、開業やスペースといったすべての文字を読み上げてしまうと、非常に聞き取りにくいことになります。そのため、スクリーンリーダーには、このような句読点の読みを省略して、内容を聞き取りやすくしてくれる機能が搭載されています。

macOSのVoiceoverでは、「句読点レベル」を設定することで、この句読点の読み上げ方(読み上げる量)を設定することができます。設定を変更するには、Voiceoverユーティリティの「詳細度」にある「テキスト」タブ、もしくは「VO + V」で詳細度ローテーションを開き「すべて」「一部」「なし」から、句読点の読み上げレベルを選択します。
macOS Catalinaでは、句読点の読み方をカスタマイズすることもできるようになりました。

ただ筆者の個人的な印象として、この句読点レベルの設定でどの句読点・記号が読み上げられるのか、今一つ判然としていない感じでした。今回加わったカスタム句読点レベルの設定画面を開くと、半角記号の読み上げ方を確認できるようになり、これまでの疑問が少し解消されました。あくまでも半角記号に関しては。

一方で、日本語(全角文字)の句読点や記号の読み方と、この句読点レベルの関係は確認できず、いまだに謎です。
少なくとも現状ではレベルを「なし」にすると全く読まない、「すべて」にすると全部読む、みたいな単純なことにはなっていません。

Webやドキュメントを読むのであれば、多少句読点が省かれても内容を把握することに問題はありませんが、自分の書いた文章をチェックする場合、すべての句読点や記号が読まれないと、タイプミスを音声でチェックできません。
カッコを逆につけてしまったり、二重に記号をタイプする、なんてこともありますし、うっかり記号を消去し忘れルコともしばしば。この記事にもきっと、そのようなミスが存在することでしょう。
もちろん1文字読みで延々とチェックすることはできますが、連続読みですべての文字を確認できる方が効率的です。よほど特殊な文字は別として、キーボードから普通に入力できる文字は、読み上げて欲しいものです。

できるのなら今回追加されたカスタム句読点レベルを使い、すべての句読点や記号を連続読みで確認できる環境を構築したいところです。
というわけで、今回はその前段階。
現時点で句読点レベルの設定が、句読点・記号の読み方にどのように影響しているかを調べてみます。
一般的に用いられる句読点と記号を書き出し、まず単独で句読点レベルごとの読む/読まないを調査。加えて句読点・記号の前後に文字が付いたケースも調べてみました。
念を押しますが、今回は「全角」に限定した調査です。

ではいってみましょう。
前もっていっておきますと、結構複雑です。
あと何も解決してません。

1.前後の文字列に関係なく、
句読点「なし」以上で読まれる

$ ドル
% パーセント
¥ エン
@ アット
< ショウナリ
~ チルダ

2.単独もしくは文字列の前にあると「なし」以上でで読むが、
文字列の後ろに付くと「なし」「一部」で読まなくなる

! カンタンフ
? ギモンフ

3.単独もしくは文字列の前にあると「なし」以上でで読むが、
文字列の後ろに付くと「なし」「一部」「すべて」で読まなくなる

; セミコロン
. ピリオド

4.単独では「なし」以上でで読むが、
文字列の前後いずれかもしくは両方に文字が付くと
「なし」「一部」「すべて」で読まなくなる

+ プラス

5.句読点を「一部」以上にすると読まれる

・ 中黒

6.句読点を「すべて」にすると読まれる

” ミギニジュウインヨウフ
# シャープ
& アンパサンド
’ ミギヒトインヨウフ 
( ヒダリマルカッコ
) ミギマルカッコ
, カンマ
。 句点
、 読点
開業コード

7.句読点を「すべて」にしても読まれない
つまり1文字読みでしか確認できない

^ キャレット
> ヨリオオキイ
_ アンダースコア
| タテボウ
「 レフトコーナーブラケット
『 レフトホワイトコーナーブラケット
」 ライトコーナーブラケット
』 ライトホワイトコーナーブラケット
` アクセント
: コロン
* アスタリスク
- ハイフン
スペース

8.その他のパターン

ー 音引き
音引きは、デフォルトでは「すべて」にしても読まれませんが、
「読み方」に登録すると「なし」でも、あるパターンで読むようになるようです。
単語に含まれる音引きは読まれません。例えば「コンピューター」だと、最後の音引きだけ読まれます。

/ スラッシュ
全角スラッシュは、基本どの句読点レベルでも読まれません。
ちょっと気が付いたのは、全角スラッシュの後ろだけに文字が付く場合。このパターンでは、付けられた文字列の末尾の数文字が繰り返して読み上げられる現象が発生するようです。これはバグかな?
例えば次の文字列。先頭に全角スラッシュ、それに続いて「あいうえお」と続きます。

/あいうえお

句読点レベル「なし」「一部」では「あいうえおうお」と読まれている(多分)。「すべて」にすると「あいうえお改行改行」と読まれます。スラッシュの前に文字列があればこの現象は発生しませんが、その文字が全角スペースだと発生します。
あ、あくまでもmacOS CatalinaのVoiceoverでの話ですよ。

というわけで、ここまで調べて力つきました。
正直、ここまでカオスなことになっているとは思いませんでした。「大なり」と「小なり」、「コロン」と「セミコロン」で何故扱いが違うのか。「一部」の設定の意味とは。
実はこの他にも、句読点と記号同士が隣り合う、同じ記号が連続するパターンでも読み上げが変わる場合があり、もしかしたら、句読点・記号に付く文字の種類によっても挙動が違ってくるかもしれませんが、気力が戻ったら試してみます。何処かにアルゴリズムを解説した資料があればいいのですけど、どなたかご存知でしたらご一報ください。

さて、以上の調査結果を踏まえ、Catalinaの「カスタム句読点」で目的の「全部読み」環境が手に入るのか?
まだ試してないのでわかりません。
乞うご期待。多分。

※この記事の内容はmacOS Catalina 10.15で検証したものです。


2019年9月9日月曜日

[Mac] 現在Voiceover環境で日常的に使っているアプリをまとめてみました。


Twitterでご質問をいただいたので、今わたしがMacのVoiceover環境で使っているアプリについてまとめてみました。あまり参考にはならないと思いますが覚書として。

現在、私のMacの用途は文章執筆、情報収集、コミュニケーションがメイン。加えて音楽再生とか書類作成にポツポツ使っています。で、いきなりのガッカリ発言ですが、作業の多くの部分はmacOS標準のアプリを使っています。
Safari、メール、テキストエディット、スティッキーズ、メモあたりがメイン。これに加えてPages、Numbers、プレビュー、クイックルックもよく使います。
もちろん標準アプリよりも高機能なアプリは山ほど存在するのですが、Voiceoverでの動作が保証されている、これに勝るメリットはありません。

とはいえ標準アプリだけでは不便なのも事実です。そこで現在私が日常的に利用しているサードパーティ製アプリをご紹介しましょう。
思えばVoiceover使いになってからは使うアプリがかなり減りました。まあ、それまで使ってたアプリがVoiceover環境で使えなくなったというのが真実ですけどね。また画像加工など作業的にもできることが少なくなったこともあります。悲しい話です。

⌘英かな:Windowsキーボードを使う場合にAltキーを「英数」「かな」に割り当てます。
Adobe Acrobat Reader DC:PDF読むならプレビューより快適。テキスト抽出も可能。
Alfred:アプリランチャーとして利用。Spotlightより軽い。最新版はまだ使ってません。
ClipMenu:クリップボード管理ツール。御守りみたいなものです。たまに救われます。
CotEditor:テキストエディタ。アウトライン機能などが便利。(解説
Dropbox:定番クラウドストレージ。iPhoneから画像を転送する用途にも。
ForkLift:FTPクライアントの旧版。無料なので一部機能制限あり。
Google Chrome:Safariで思いページはこちらで。画像の解析にも利用してます。
Googleのバックアップと同期:Googleのストレージを管理。
Miya Translate:メニューバーに常駐する翻訳アプリ。(参考
radikoro:radiko、らじるプレイヤー。
ReadKit:RSSリーダー。情報収集の要。
The Unarchiver:定番アーカイバ。
Twitterrific:Twitterクライアント。機能は良いのですが私の環境では不安定です。
VLC:定番メディアプレイヤー。
XLD:CDを高音質でリッピングし、再生できます。
夜フクロウ:Twitterクライアント。Twitterrificが不安定なので今はこれがメイン。

最近はネイティブアプリだけでなく、Google DocsなどWebアプリを使うことも多くなってきました。あとPDFを読んだりOCR使うならiPhoneとかiPadで処理することも多いですね。ICTライターとしては「Scrivener」とか「Keyboard Maestro」とかプロっぽいアプリ使ってますって言いたいところですが、貧乏ライターの悲しいところです。いや、Macは標準アプリでも十分使えるのが良いところですから!

macOS 10.15では32 bitアプリが非対応となる一方、iPad向けアプリがmacOSにやってくるなんて話もあります。macOSを巡る環境が急激に変化していく中、上に挙げたアプリの中からも、いつかは使えなくなるものも出てくるでしょう。そうなると代替になるVoiceover対応アプリを探す長い旅がまた始まるのです。溜息。
アプリの栄枯盛衰は避けようがありませんが、スクリーンリーダー使いにはまだまだ胃が痛い日々が続きそうです。


2019年8月23日金曜日

[Mac]「Voiceover」と「スピーチ」の併用で、作業効率アップ。(おまけ付き)


Voiceoverに限らず、スクリーンリーダーでの作業の欠点の一つとして挙げられるのは、「アウトプットがシングルタスク」であるということでしょう。画面が見えていれば、複数の情報が同時に視界に入ってきますが、スクリーンリーダーでは基本的に現在フォーカスしている部分だけを音声で読み上げます。
例えばVoiceoverでWeb記事を読んでいる間は、他の作業はできません。読み上げ中に他の作業を行うと、読み上げがキャンセルされ、次の読み上げに移行してしまいます。
確かに、アプリやウィンドウを切り替えるたびに複数の音声がミックスされてしまうと、聖徳太子でもない限り、内容を理解することは難しいでしょう。これは視覚と聴覚の情報処理能力の違いによるものなので、ある程度は仕方がないことなのかもしれません。

でも、記事を読みながらメールチェックやFinderでファイルの整理くらいできれば便利なのにな、と思ったことはないでしょうか。VoiceoverとmacOSの「スピーチ」を同時に利用することで、それっぽいことができるのです。

ではまず、スピーチの設定を確認しましょう。
なお、Voiceoverはすでに設定されているという前提です。
「システム環境設定」>「アクセシビリティ」を開き、「アクセシビリティ機能」のリストから「スピーチ」を選択すると、設定項目が表示されます。

  • システムの声:読み上げる声を設定します。「カスタマイズ」で声を追加できます。
  • 読み上げ速度:スピーチの読み上げ速度を設定します。
  • 音声通知を有効にする:チェックを外します)ヴォとかぶるため)
  • キーを押したときに選択しているテキストを読み上げる:チェックをいれます。
  • 現在のキー:ショートカットキーを確認します。「変更」をクリックして別のキーを指定できます。

スピーチの設定が終わったら、早速テキストを読み上げさせてみましょう。
スピーチは基本的に「選択したテキスト」を読み上げます。Safariやテキストエディットなどで読み上げさせたいテキストを選択し、スピーチで設定したショートカットキーを押せば、読み上げが始まります。もう一度同じキーを押せば読み上げを停止、またControlキーで読み上げの一時停止/再開ができます。
例えばSafariで記事をスピーチで読ませるなら、Command+Chift+’R’でリーダーを開き、Command+’A’で全テキストを選択。スピーチキーで記事全文が読み上げられます。
またテキストエディットなど、一部のアプリではテキストエリアにフォーカスしてスピーチキーを押すだけで、テキストを選択しなくても、先頭から末尾まで読み上げられる場合もあるようです。色々試してみましょう。

Voiceoverユーザーとして特筆したいのが、スピーチの音声とVoiceoverの音声が「同時に再生される」という点でしょう。
これなら、スピーチを使って長文テキストをバックグラウンドで読み上げさせながら、Voiceoverで他のアプリに切り替え平行作業ができます。2つの音声を同時に理解するには慣れと訓練が必要ですが、Finderの操作くらいならさほど難しくはないでしょう。

これまで記事を読み終えるまでは他のちょっとした作業もできなかった時と比べれば、作業効率はかなりアップするのではないでしょうか。
1回で節約できる時間はわずかでも、積もり積もれば大きな時間の節約になるはずです。

個人的なコツとしては、スピーチの声はVoiceoverとは別のものを指定する、スピーチの音量はシステム音量に準じるため、バランス調整はVoiceover側で行う、という感じでしょうか。またバックグラウンドでスピーチさせている時にControlキーを押すと、スピーチが停止してしまい、再開できなくなる点は注意が必要かもしれません。これ、バックグラウンドのスピーチをホットキーでコントロールできれば、Safariで記事を読ませながらメモを取る、みたいなことができそうなんですけど。方法知っている方いらっしゃいますか?

また、Voiceoverとスピーチを併用して、2つの言語のスピーチを素早く使い分ける、という活用法もあります。
macOSのVoiceoverでは複数のスピーチ言語をインストールしておき、Voiceoverの声を「言語に基づいて自動的に選択」に設定すれば、コンテンツの言語設定に応じて読み上げ音声を自動的に切り替えてくれる機能があります。
例えば日本語のWebページなら「Otoya」、英語のWebページなら「Daniel」で読み上げといった具合。
ですがこの機能、筆者の体験の範囲ですがあまり思うようにはどうさしてくれません。結局、英文を読み上げるにはいちいち声の設定ローテーション(VO+Command+Shift+矢印キー)を開いて切り替えなければならず、結構面倒です。
なので普段は日本語音声「Otoya」や「Kyoko」で読ませてるのですが、彼らのローマジ英語発音は正直厳しいものがあります。

ところがスピーチに英語の声を設定しておけば、Voiceoverの設定を変更しなくても、即座に英語音声でテキストを読み上げることができるのです。再生スピードもVOとは別に設定できるので、筆者のようにリスニングが苦手なら、ちょっと遅目に設定しておくとわかりやすいですよ。

というわけで、Voiceoverユーザーも「スピーチ」を上手に活用すると色々便利ですよ、というお話でした。

※この記事はmacOS 10.14.6で検証・執筆しました。

ひとまずブログを統一します

BloggerがVoiceoverで非常にアクセスしにくくなってしまったため、しばらくはMac関係の記事も メインのブログ にエントリーすることにしました。ブログの切り替えが非常に難しいんですよ。 改善されればまたこちらにもエントリーするかもしれませんが。 よろしくお願いします。