2018年6月1日金曜日

[Mac]Voiceoverユーティリティ] 詳細度設定(2/2)


読み上げ情報量とヒントの設定


前回に引き続き、
Voiceoverユーティリティの「詳細度」設定の解説です。
前回では、macOSのウィンドウやテキストの詳細度設定でしたが、
今回はそれに含まれない部分の読み上げに関する設定です。
それに加えて、詳細度ローテーションの解説もあります。

Voiceover操作を習得するのに役立つ機能もありますから、うまく活用しましょう。


「通知」タブ


このタブでは、ウィンドウやダイアログの
情報を通知する方法を設定します。

ファイルのコピーなどの状況を、
リアルタイムに通知してくれる機能も便利です。

マウスカーソルがウインドウに入ったときに知らせる

チェックを入れると、
マウスポインタを動かしてウィンドウやメニューバー、ドックなどに入った時に
「入ります○○」
といった感じで通知してくれます。
ポインタがウィンドウの外に出た時は
「入ります Finderデスクトップ」
と通知します。

ロービジョンのユーザーにとってはウィンドウの判別の助けになりますし、
マウスポインタを座標を調べながら移動させ、Voiceoverで押せないボタンをクリックする時にも役立ちます。


修飾キーが押されたときに知らせる

Voiceoverコマンドに使用する
Command、Control、Option、Shiftキーが
押された時に、キーの名前を読み上げます。

キーボード操作に慣れていない場合は、
このオプションを有効にすることで、
キーを確認しながら操作できます。
操作に慣れたら、このオプションは無効にしましょう。

なお、修飾キー以外のキー操作を確認するには、
VO + K
を押してキーボードヘルプを開始して確認できます。
ヘルプの終了はもう一度同じコマンドを押すか、ESCキーを押します。


Caps Lockキーが押されたときに知らせる

このオプションにチェックを入れると、
CapsLockキーが押された時にCapsLockの状態を通知します。

うっかりCapsLockがオンになってしまい、
アルファベットの大文字/小文字が逆転してしまった、なんて失敗を未然に防げます。

なおCapsLockキーをVoiceover修飾キーに設定している場合
(Voiceoverユーティリティの「一般」カテゴリで設定)、
CapsLockのオン/オフは「CapsLockキーを2回押します。

またうっかり大文字で入力してしまったテキストは、
テキストを選択して「編集」>「変換」メニューから一括して小文字や語頭を大文字にすることができます。
Voiceoverでの大文字の判別方法は、前回の記事(テキストの詳細度)を参照してください。


表の行を移動したときにヘッダを読み上げる

表をVoiceoverカーソルで読む際、
カーソルを「VO + 左右矢印」で移動させた時に
セルの内容を読む前に、その列のヘッダを読み上げます。
ヘッダを読み上げさせるには、表にヘッダが設定されている必要があります。

例えばMac標準日本語入力の単語登録画面にある
「自動置換」の表では、1列目は「入力」、2列目は「変換」というヘッダが設定されており、
Voiceoverカーソルを動かして列を移動するたびに
ヘッダが読まれ、それに続きせるの内容が読まれます。

ただこのオプションは、表のヘッダが適切に表記されていないと、むしろ内容を理解しにくくなる場合があります。
例えば個人情報の入力フォームが表になっていて、
1行目が「氏名」になっており、かつこの行が表ヘッダになっていたりすると、
2行目以降にカーソルを動かすと、
その都度「氏名」と読み上げてからそのセルの内容を読み上げてしまいます。
これがとても紛らわしい上に、このようなWebページが少なくなかったりします。

このオプションは基本的に有効にした方が便利ですが、
そのようなケースもあるということを頭に入れておきましょう。


ダイアログボックスのテキストを自動的に読み上げる

保存や通知などのダイアログが開いた時に、
その内容を自動的に読み上げるかを設定します。
このオプションを無効にしても、ダイアログの名前や位置づけされたVoiceoverカーソルの内容は読み上げます。


各文字にフォネティックスペリングを付加

チェックすると、アルファベットを1文字読みさせた時に
文字に続いてフォネティックスペリングを読み上げます。
フォネティックスペリング(欧文通話表)とは、
あらかじめ決められた文字に対応する単語(AならAlpha)を併読することで、
聞き間違いを防ぐ仕組みです。
(フォネティックスペリングについてはWikipediaが詳しいです)

Voiceoverでのフォネティックスペリングは、
「文字の説明」としての機能を持っています。
現時点ではMacではアルファベット(全角含む)でしか機能しませんが、
iOSでは「文字説明フィードバック」として
日本語を含めた文字説明に対応しています。
Macでのサポートにも期待したいところです。


VoiceOverカーソル下の状況テキストが変化したとき

処理の進行に応じてテキストが変化する項目に
Voiceoverカーソルを合わせた時の
通知方法を設定します。
例えばFinderでファイルをコピーする時の、
コピー済みデータサイズの表示がこれに当たります。

・トーンを再生
テキストが変化したらサウンドエフェクトを鳴らします。
「カチッ」という軽い感じの音です。

・テキストを読み上げる
変化したテキストを読み上げます。
細かいファイルのコピーなどは、読み上げが追いつかず、内容を把握しにくくなることがあるので注意しましょう。

・何もしない
Voiceoverカーソルを合わせた時に読み上げ、
以降は何も通知されません。


VoiceOverカーソル下の状況インジケータが変化したとき

ファイルのコピーやダウンロードの
進捗バーなどの状況インジケーターに
Voiceoverカーソルを合わせた時の通知方法を設定します。
例えばFinderでファイルをコピーする際、
「○%」と表示される部分です。

・トーンを再生
状況が変化したらサウンドエフェクトがなります。
テキスト状況と同じ、「カチッ」という音です。

・アップデートを読み上げる
状況が変化したらその内容を読み上げます。
ファイルのコピーであれば、リアルタイムに「○%」と読みます。

・何もしない
Voiceoverカーソルを合わせた時に読み上げ、
以降は何も通知されません。


VoiceOverカーソル下の行数が変化したとき

リスト表示項目にVoiceoverを合わせた際、
そのリストの行数が変化した時の通知方法を設定します。

例えばメールのメッセージ一覧やRSSリーダーの新着記事、SNSのタイムラインなどを
受信した時にこの設定が機能します。

・トーンを再生
状況が変化したらサウンドエフェクトがなります。
テキスト状況と同じ、「カチッ」という音。です

・アップデートを読み上げる
行が変化した時に
「○行が追加されました」
といった感じで読み上げられます。

・何もしない
何も通知されません。


■H3
サイズや位置を読み上げるときの単位

Voiceoverでは、ウィンドウやマウスポインタの
サイズや位置を調べるコマンドがありますが、
その時に使用する単位を設定します。
「ポイント」「ミリ」「インチ」から選択できます。

単位の設定が影響するコマンドには、
以下のようなものがあります。

VO + Command + F2
→ウィンドウのサイズを説明
VO + Command + F2を2回
→ウィンドウの位置を説明
VO + Command + F3
→VOカーソルのある項目のサイズを説明
VO + Command + F3を2回
→VOカーソルのある項目の位置を説明
VO + アクセント
→ウィンドウを移動する
VO + チルダ
→ウィンドウのサイズを変更する
VO + F5を2回
→マウスポインタの位置を説明(画面左上隅から)
VO + F5を3回
→マウスポインタの位置を説明(ウィンドウ左上隅から)


マウスポインタを文字に重ねたら、指定の間を取ってから読み上げる

このオプションを有効にすると、
テキストにマウスポインタを重ねて静止させ、
スライダで設定した時間が経過すると、
その内容を読み上げます。

ロービジョンのユーザーで、
文字の位置は判別できるけれど
もじが読みにくいという場合に役立つ設定です。


「ヒント」たぶ


この設定では、Voiceoverの操作方法に関する
ヒントの読み上げ方法を設定します。


VoiceOverカーソル内の項目の使いかたを読み上げる

チェックを入れると、
Voiceoverカーソルのある項目で実行できる基本操作を説明します。

例えばチェックボックスに
Voiceoverカーソルを合わせ、
項目の内容を読み上げたら、少し間を置いて、

「現在、あなたはチェックボックス上にいます。このチェックボックスを選択または選択解除するには、コントロール-Option-スペース を押します。」

と読み上げます。
ある程度Voiceoverの操作に慣れたら、
この設定は無効にしておくと快適です。
無効に設定しても、

VO + Shift + N

コマンドで手動で読み上げることができます。


項目にヘルプタグがあるとき

Voiceoverカーソル下にある項目に
ヘルプタグが設定されている時の読み上げ方法を設定します。
意外と役に立つヘルプタグもあるので、
ヘルプタグを読み上げる設定にし、
読み上げまでの時間を少し長めに調整するのが良いでしょう。

・ヘルプタグを読み上げる
項目の内容を読み上げた後、
設定されたヘルプタグを読み上げます。
例えばこの設定のポップアップメニューには

「項目のヘルプタグを知らせる方法を選択します。」

というヘルプタグが設定されています。

・通知を読み上げる
項目の内容を読み上げた後に
「この項目にはヘルプタグがあります。」
と読み上げます。
ヘルプタグの内容は
「VO + Shift + H」キーで確認できます。

・何もしない
項目の内容を読み上げるだけで、
ヘルプタグは通知されません。

ヒントを読み上げるまでの時間

上記の2つのヒントを読み上げるまでの
時間を設定します。
デフォルトは0.5秒です。



詳細度ローテーションを使った設定変更


よく使用される詳細度設定は、Voiceoverユーティリティだけでなく、
詳細度ローテーションでいつでも変更できます。
詳細度ローテーションを開くには、

VO + V

を押します。
左右矢印キーで設定項目を選び、上下矢印キーで設定値を選択、
Returnキーか「VO + スペース」で決定、
キャンセルするときはESCキーを押します。

調整できる項目は以下の7つです。
・読み上げ詳細度
・句読点
・入力読み上げ
・テキスト属性
・数字
・大文字
・状況が変更されたとき

特に「句読点」と「テキスト属性」は
個人的に頻繁に切り替えたいのでありがたい機能です。


まとめ


2回にわたり「詳細度」設定について解説しました。
同じ読み上げも、カスタマイズ次第で
受け取れる情報がかなり変化することがわかるでしょう。

Voiceoverを初期状態で使っているなら、
一度設定を見直して調整してみることをお勧めします。

ユーザーの見え方やスキルに合わせた最適な設定にチューニングすることで、
さらに快適にVoiceoverを活用できるのではないでしょうか。

※この記事はmacOS 10.13.4で執筆しました。


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BloggerがVoiceoverで非常にアクセスしにくくなってしまったため、しばらくはMac関係の記事も メインのブログ にエントリーすることにしました。ブログの切り替えが非常に難しいんですよ。 改善されればまたこちらにもエントリーするかもしれませんが。 よろしくお願いします。