2018年6月4日月曜日

[Mac] 「カーソル追従」を使い分ける


Voiceoverで扱う3種類のカーソル


macOSをVoiceoverで操作する場合、3種類のカーソルを用いてさまざまな作業を行います。まずそれぞれのカーソルについて軽く解説しましょう。

・キーボードカーソル
キーボードの操作対象を示すカーソルです。
テキストを入力したり、範囲選択するときに用いられます。

・Voiceoverカーソル
Voiceoverコマンドで操作するカーソルです。
カーソル位置にある要素を読み上げたり、クリック操作などを実行する対象を示します。
以下「VOカーソル」と略します。

・マウスカーソル
マウス/トラックパッドで移動し、
クリックやスクロールなどの操作を実行するカーソルです。


基本はカーソル追従オンで使う


Voiceoverユーザーにとって重要となるのは、「キーボードカーソル」と「VOカーソル」の2つでしょう。
デフォルト設定の場合、このふたつのカーソルは同期して移動します。
つまりVOカーソルを移動させると、キーボードカーソルもその位置に移動しますし、
Tabキーで入力フォームを移動させると、VOカーソルもその位置に移動します。
この状態が「カーソル追従オン」です。

カーソル追従の設定は、Voiceoverユーティリティ) VO + F8)を開き、
「ナビゲーション」設定にある
「キーボードの操作対象とVoiceOverカーソルを同期」に
チェックを入れると「追従オン」、チェックを外すと「追従オフ」に設定されます。

カーソル追従オンなら、Voiceoverで読み上げた項目がキーボードの操作対象になるため、カーソルの位置について迷うことはありません。
基本的に、カーソル追従はオンに設定しておきましょう。

なお、ここでは、マウスポインタとVoiceoverカーソルの同期も設定できます。
「マウスポインタ」のプルダウンをクリックし、以下の設定から選択します。

・VoiceOverカーソルに追従
VOカーソルを動かすと、マウスポインタがその位置に移動します。
目視でのマウス操作を行わないならこの設定にしておき、クリック操作が必要な時はVoiceoverコマンド(VO + Shift + スペース)でクリック操作を実行できます。

・VoiceOverカーソルを移動
マウスポインタを動かすと、VOカーソルがその位置に移動します。
ロービジョンのユーザーで、目視でのマウス操作が中心なら、このオプションを設定してポインタの下の項目を読み上げさせる、という使い方ができます。
ただ、この機能よりは、アクセシビリティの「ズーム」にある「ポインタを項目に重ねたら読み上げる」の方が便利かもしれません。

・VoiceOverカーソルを無視
マウスポインタとVOカーソルは同期しません。
Voiceoverで項目を読み上げさせつつ、マウスポインタでスクロールなどの操作を同時に行う、といった使い方をするならこの設定を使います。


カーソル追従オフが便利なケース


カーソル追従オンの状態では、前述の通り
読み上げられた場所とキーボード操作対象が一致するため、カーソルの位置に関しては迷うことはありません。
しかし、一部のケースでは、カーソル追従をオフにすることで、操作を効率化させることが可能です。
代表的な例として、「テキストエディット」でリッチテキストを編集するケースが挙げられます。

カーソル追従オンでテキストを編集していて、フォントやスタイルをツールバーから変更しようとすると、いちいちVOカーソルを動かしてツールバーまで移動し、設定が終わったら編集エリアに戻ってこなければならず面倒です。
この作業をカーソル追従オフで行えば、VOカーソルをツールバーに置いたままテキストの編集が続けられるため、作業効率が飛躍的にアップします。
まあテキストエディットの場合はショートカットキーである程度作業はできますが、似たようなアプリケーションの中には頻繁にツールバーへアクセスしなければならないものもあるので、カーソル追従オフの効果は大きくなるはずです。

カーソル追従の設定は、Voiceoverユーティリティで変更する方法以外に、VOコマンドで一時的にオン/オフを切り替えることができます。

VO + Shift + F3

を押せば、カーソル追従が一時的に切り替わります。
Voiceoverユーティリティの設定は変更されません。

上記のテキストエディットを例にすると、
1. リッチテキストで編集を開始する
2. VO + Shift + F3を押して追従オフにする
3. VO + 左右矢印で、VOカーソルをツールバーに移動する。
  ここでキーボードカーソルとVOカーソルの位置が分離される
4. VOキーを離せば、テキスト編集に戻れる
5. VO + 左右矢印、VO + スペースでツールバーを操作
6. 編集が終わったら、カーソル追従をオンに戻す
という流れになります。
VOキーでテキスト編集とツールバーの操作を瞬時に切り替えられるので、非常に便利です。


用途に合わせてカーソルを操ろう


カーソル追従をオフにしてメリットがあるのは、
同一のウィンドウ内に、テキストを編集するエリアと、VOカーソルで読み上げ/操作する要素が同居しているケースでしょう。
他にもこのようなケースも考えられます。

・SafariでTwitterやFacebookに投稿する時に、タイムラインやトレンドを読みながらテキストを編集する。
・メッセージで、投稿フォームにキーボードカーソルを置いたまま、メッセージのやりとりをVoiceoverで読む。
・検索フォームにキーボードカーソルを置いたまま、検索結果をVoiceoverで読み上げる。

はじめのうちは、カーソル追従をオフにすると操作が混乱するかもしれませんが、
慣れてくると、ふたつのカーソルを自由自在に捌けるようになり、作業効率は格段にアップします。
ぜひ一度お試しください。

※この記事はmacOS 10.13.5で執筆しました。

2018年6月3日日曜日

[Mac] 「読み上げかた」の使い方。およびその可能性を考える


Voiceoverの「読み上げかた」とは


Voiceoverは、高度なアルゴリズムによりテキスト全体を解析し、自然な読み上げを実現しています。同じ単語でも、前後の分脈をもとに読み方を変化させたり、イントネーションを上下させるなど、特別なチューニングを施すことなく、違和感なくテキストを読み上げてくれます。
とはいえ、細かい部分ではまだまだ不完全なのも事実。AI技術などを取り込むことで今後進化が期待できる分野ではあるのですが、万人にとって完璧な読み上げを実現するには、まだ時間がかかるのではないでしょうか。

Voiceoverの「読み上げかた」は、ユーザーがテキスト読み上げの内容をカスタマイズできる機能です。これを用いることで、こまごまとした読み上げに関するストレスを解消させることができるでしょう。

この機能の仕組みはとてもシンプル。指定した文字列に対する「読み方」を登録しておくことで、Voiceoverはそのルールにしたがってテキストを読み上げてくれます。
日本語入力に「ユーザー辞書」という機能がありますが、その逆バージョンといえばイメージしやすいでしょうか。むしろわかりにくいたとえのような気もしますが。


「読み上げかた」の活用例


ではVoiceoverの「読み上げかた」の、具体的な活用例を挙げて見ましょう。

(1)固有名詞を正確に読ませる

もっとも基本的な活用法ですね。
人命・地名などの固有名詞は、なかなか正確には読み上げてくれません。読み方を登録すれば、常に正確に読み上げてくれます。

(2)単位や顔文字をわかりやすく読ませる

「km」といった単位や、「(^_^)」などの顔文字に代表されるような、複数の文字を組み合わせる表現は、基本的に文字の通りにしか読み上げません。
「キロメートル」「スマイル顔文字」のように登録すれば、文章の内容もわかりやすくなります。

(3)反核英数による「読み崩れ」を軽減させる

Voiceoverでは、全角と反核の単語が混在したテキストを読み上げると、読み上げが崩れやすくなります。反核英数の単語を、日本語読みで登録しておくことで、読み崩れが大幅に軽減されます。
たとえば「Google」「Apple」「AI」を「ぐーぐる」「あっぷる」「えーあい」と登録すれば、IT系ニュースでの読み崩れが少なくなります。

(4)頻出する長いフレーズを省略する

数十文字にも及ぶ固有名詞。数回ならまだしも、頻繁に読み上げるとかなりゲンナリしてしまいます。このような長い単語やフレーズを、意味のわかる範囲で省略して「読み上げかた」に登録しておけば、時間の節約にもなりますね。

(5)Voiceoverの不具合や機能不足を応急的に解消する

Voiceoverには、まだ細々とした読み上げの不具合があります。いくつかの不具合は、読み上げかたで解消することが可能です。
その代表的なものが、「カタカナや漢数字を1文字読みしない」現象。詳しくは以下の記事を参照してください。

他にも「帰宅する」の「帰」など1文字読みをしない文字があり、これも「読み上げかた」で応急的に対処できます。
さらに、半角の「Contacts]を「れんらくさき」、「Calculator」を「け
いさんき」と読む怪現象もこの方法で解消可能です。

もう一つ、MacのVoiceoverでは、英数の全角と半角を読み分けることができません(大文字、小文字は読みわけます)。たとえば全角「A」を「全角えー」と登録しておくと、全角・半角の判別が可能になります。ただ副作用として、登録した全角文字が文章の中に単独で出現すると、読み上げかたの読みが適用されてしまいます。


読み上げかたの登録手順


では実際に読み上げかたに、読み方のルールを登録してみましょう。基本は「Voiceoverユーティリティ」を使用します。

(1)「読み上げかた」設定を開く

Voiceoverがオンの状態で、「VO + F8」を押し、Voiceoverユーティリティを開きます。
「ユーティリティのカテゴリ」から「スピーチ」を選択。
「読み上げかた」のタブを選択し、
VOカーソルを動かして「読み上げかた ひょう」と読み上げられたら「VO + Shift + 下矢印」を押して操作可能にします。

表内の項目は、「VO + 矢印キー」で移動。Tabキーも使用できます。
「Option + 下矢印」で末尾行に移動、「Option + 上矢印」で先頭行に移動できます。また英数文字限定ですが、、キー入力で頭出しも可能です。

(2) 新しい読み上げかたを追加する

新しい行を追加するには「Command + N」をオスカ、表の下にある「追加」ボタンをクリックします。

行を追加すると、まず「テキスト」項目が編集モードに切り替わります。もし編集モードにならない場合は「VO + スペース」を押します。

ここに、読み方を変更したい文字列を入力します。
この文字列が基本となるので間違えないようにコピー&ペーストが確実でしょう。

入力したら、Tabキーか「VO + 右矢印」を押して「読み方」項目に移動します。
ここに「テキスト」で指定した文字列の読み方を入力します。
漢字や固有名詞の場合は、ひらがなで入力すると確実です。

以上の2項目を入力した段階で、指定したテキストの読み方が変更されます。
(なお「読み上げかた」の画面を閉じると、「テキスト」項目の昇順にデータが並べ替えられます)

さらに「アプリケーション」項目のプルダウンメニューからアプリケーションを指定すると、読み上げかたを変更するアプリケーションを指定できます。デフォルトでは「全てのアプリケーション」が指定されています。
また「大文字/小文字を無視」のチェックを外すと、テキストの大文字/小文字を区別して読み方が変更されます。デフォルトではチェックが入っています。

同じテキストでも、アプリケーションによって読み方を変えたい場合や、小文字と大文字の表記で読み方を変えるといった使い方ができます。
なお、「読み方」以外の項目が同一の行が複数ある場合は、「読み方」の若いものが適用されます。

(3)読み上げかたの修正・削除

登録済みの読み上げかたを修正するには、項目にVOカーソルを合わせて「VO + スペース」を押します。編集モードに切り替わるので、内容を編集して「Return」キーで確定します。

行を削除するには、削除したい行にカーソルを合わせ、「Delete」キーをオスカ、表の下にある「削除」ボタンをクリックします。項目にデータが入っている場合は、削除する時に確認のダイアログが表示されます。「削除」をクリックするとその行が削除されます。
なお、この処理は取り消しできません。


読み上げかたデータのインポートとエクスポート


読み上げかたに登録した読み方データは、Voiceover環境設定とは別に、単独でのインポート/エクスポートが可能です。バックアップ用途としてはもちろん、他ユーザーとデータを共有して利用することもできます。
ただし、読み上げかたをインポートすると、それまで登録されていたデータは全て消えてしまうので注意が必要です。

(1)読み上げかたのエクスポート

Voiceoverユーティリティの「ファイル」メニューから
「環境設定を書き出す」を開き、「書き出し」ポップアップメニューから「読み上げかた」を選択してエクスポートします。
指定した保存先に「VoiceOverの読み上げかた.voprefs」というファイルが作成されます。

(2)読み上げかたのインポート

Voiceoverユーティリティの「ファイル」メニューから
「環境設定を読み込む」を開き、「VoiceOverの読み上げかた.voprefs」を指定します。
確認するダイアログが表示されるので「OK」をクリックすればインポートされます。
インポートすると、読み上げかたのデータは置き換わるので注意しましょう。

(3)読み上げかたのリセット

Voiceoverユーティリティの「ファイル」メニューから
「カスタムVoiceOver環境設定をリセット」>「読み上げかた」で、読み上げかたを初期化できます。


アクティビティやコマンダーと組み合わせる


Voiceoverのアクティビティを追加して、新しい「読み上げかた」設定セットを作成すれば、任意のタイミングもしくは特定のアプリケーションやWebサイトごとに別個の読み上げかたを利用することができます。

アクティビティについては、以下の記事を参照してください。

また、キーボードコマンダー、テンキーコマンダー、トラックパッドコマンダーに「読み上げかたを追加」コマンドを登録しておけば、Voiceoverユーティリティを起動することなく、ポップアップウィンドウから簡単に読み上げかたを追加することができます。
頻繁に読み上げかたを登録しているのであれば、コマンダーからの登録がオススメです。


まとめ


Voiceoverの「読み上げかた」に関してざっくりとですがご紹介しました。
VoiceoverはNVDAなどと違い、読み上げに使用する音声エンジンを自由にカスタマイズできないため、不具合など読み上げに関する問題が発生しても、結局Appleの対応を待たなければいけません。
そのような状況の中で「読み上げかた」は、ユーザーがVoiceoverの読み上げを改善させる数少ない方法の一つです。
今回は表面的な機能の解説にとどまりましたが、もしかしたらもっと画期的な利用方法があるかもしれません。見つかり次第、こちらで報告させていただきます。

将来的にはmacOSとiOSでの読み方データの同期や、IMEの外部辞書のようにネットなどで流通させた読み方データをアタッチできるようになれば、Macユーザーでデータを共同編集するなどさまざまな展開が考えられます。読み上げエンジンの改良はもちろんですが、「読み上げかた」きのうをもっとフレキシブルに使えるようになれば、さらにVoiceoverユーザーの利便性は工場するでしょう。


※この記事はmacOS 10.13.5で執筆しました。

2018年6月1日金曜日

[Mac]Voiceoverユーティリティ] 詳細度設定(2/2)


読み上げ情報量とヒントの設定


前回に引き続き、
Voiceoverユーティリティの「詳細度」設定の解説です。
前回では、macOSのウィンドウやテキストの詳細度設定でしたが、
今回はそれに含まれない部分の読み上げに関する設定です。
それに加えて、詳細度ローテーションの解説もあります。

Voiceover操作を習得するのに役立つ機能もありますから、うまく活用しましょう。


「通知」タブ


このタブでは、ウィンドウやダイアログの
情報を通知する方法を設定します。

ファイルのコピーなどの状況を、
リアルタイムに通知してくれる機能も便利です。

マウスカーソルがウインドウに入ったときに知らせる

チェックを入れると、
マウスポインタを動かしてウィンドウやメニューバー、ドックなどに入った時に
「入ります○○」
といった感じで通知してくれます。
ポインタがウィンドウの外に出た時は
「入ります Finderデスクトップ」
と通知します。

ロービジョンのユーザーにとってはウィンドウの判別の助けになりますし、
マウスポインタを座標を調べながら移動させ、Voiceoverで押せないボタンをクリックする時にも役立ちます。


修飾キーが押されたときに知らせる

Voiceoverコマンドに使用する
Command、Control、Option、Shiftキーが
押された時に、キーの名前を読み上げます。

キーボード操作に慣れていない場合は、
このオプションを有効にすることで、
キーを確認しながら操作できます。
操作に慣れたら、このオプションは無効にしましょう。

なお、修飾キー以外のキー操作を確認するには、
VO + K
を押してキーボードヘルプを開始して確認できます。
ヘルプの終了はもう一度同じコマンドを押すか、ESCキーを押します。


Caps Lockキーが押されたときに知らせる

このオプションにチェックを入れると、
CapsLockキーが押された時にCapsLockの状態を通知します。

うっかりCapsLockがオンになってしまい、
アルファベットの大文字/小文字が逆転してしまった、なんて失敗を未然に防げます。

なおCapsLockキーをVoiceover修飾キーに設定している場合
(Voiceoverユーティリティの「一般」カテゴリで設定)、
CapsLockのオン/オフは「CapsLockキーを2回押します。

またうっかり大文字で入力してしまったテキストは、
テキストを選択して「編集」>「変換」メニューから一括して小文字や語頭を大文字にすることができます。
Voiceoverでの大文字の判別方法は、前回の記事(テキストの詳細度)を参照してください。


表の行を移動したときにヘッダを読み上げる

表をVoiceoverカーソルで読む際、
カーソルを「VO + 左右矢印」で移動させた時に
セルの内容を読む前に、その列のヘッダを読み上げます。
ヘッダを読み上げさせるには、表にヘッダが設定されている必要があります。

例えばMac標準日本語入力の単語登録画面にある
「自動置換」の表では、1列目は「入力」、2列目は「変換」というヘッダが設定されており、
Voiceoverカーソルを動かして列を移動するたびに
ヘッダが読まれ、それに続きせるの内容が読まれます。

ただこのオプションは、表のヘッダが適切に表記されていないと、むしろ内容を理解しにくくなる場合があります。
例えば個人情報の入力フォームが表になっていて、
1行目が「氏名」になっており、かつこの行が表ヘッダになっていたりすると、
2行目以降にカーソルを動かすと、
その都度「氏名」と読み上げてからそのセルの内容を読み上げてしまいます。
これがとても紛らわしい上に、このようなWebページが少なくなかったりします。

このオプションは基本的に有効にした方が便利ですが、
そのようなケースもあるということを頭に入れておきましょう。


ダイアログボックスのテキストを自動的に読み上げる

保存や通知などのダイアログが開いた時に、
その内容を自動的に読み上げるかを設定します。
このオプションを無効にしても、ダイアログの名前や位置づけされたVoiceoverカーソルの内容は読み上げます。


各文字にフォネティックスペリングを付加

チェックすると、アルファベットを1文字読みさせた時に
文字に続いてフォネティックスペリングを読み上げます。
フォネティックスペリング(欧文通話表)とは、
あらかじめ決められた文字に対応する単語(AならAlpha)を併読することで、
聞き間違いを防ぐ仕組みです。
(フォネティックスペリングについてはWikipediaが詳しいです)

Voiceoverでのフォネティックスペリングは、
「文字の説明」としての機能を持っています。
現時点ではMacではアルファベット(全角含む)でしか機能しませんが、
iOSでは「文字説明フィードバック」として
日本語を含めた文字説明に対応しています。
Macでのサポートにも期待したいところです。


VoiceOverカーソル下の状況テキストが変化したとき

処理の進行に応じてテキストが変化する項目に
Voiceoverカーソルを合わせた時の
通知方法を設定します。
例えばFinderでファイルをコピーする時の、
コピー済みデータサイズの表示がこれに当たります。

・トーンを再生
テキストが変化したらサウンドエフェクトを鳴らします。
「カチッ」という軽い感じの音です。

・テキストを読み上げる
変化したテキストを読み上げます。
細かいファイルのコピーなどは、読み上げが追いつかず、内容を把握しにくくなることがあるので注意しましょう。

・何もしない
Voiceoverカーソルを合わせた時に読み上げ、
以降は何も通知されません。


VoiceOverカーソル下の状況インジケータが変化したとき

ファイルのコピーやダウンロードの
進捗バーなどの状況インジケーターに
Voiceoverカーソルを合わせた時の通知方法を設定します。
例えばFinderでファイルをコピーする際、
「○%」と表示される部分です。

・トーンを再生
状況が変化したらサウンドエフェクトがなります。
テキスト状況と同じ、「カチッ」という音です。

・アップデートを読み上げる
状況が変化したらその内容を読み上げます。
ファイルのコピーであれば、リアルタイムに「○%」と読みます。

・何もしない
Voiceoverカーソルを合わせた時に読み上げ、
以降は何も通知されません。


VoiceOverカーソル下の行数が変化したとき

リスト表示項目にVoiceoverを合わせた際、
そのリストの行数が変化した時の通知方法を設定します。

例えばメールのメッセージ一覧やRSSリーダーの新着記事、SNSのタイムラインなどを
受信した時にこの設定が機能します。

・トーンを再生
状況が変化したらサウンドエフェクトがなります。
テキスト状況と同じ、「カチッ」という音。です

・アップデートを読み上げる
行が変化した時に
「○行が追加されました」
といった感じで読み上げられます。

・何もしない
何も通知されません。


■H3
サイズや位置を読み上げるときの単位

Voiceoverでは、ウィンドウやマウスポインタの
サイズや位置を調べるコマンドがありますが、
その時に使用する単位を設定します。
「ポイント」「ミリ」「インチ」から選択できます。

単位の設定が影響するコマンドには、
以下のようなものがあります。

VO + Command + F2
→ウィンドウのサイズを説明
VO + Command + F2を2回
→ウィンドウの位置を説明
VO + Command + F3
→VOカーソルのある項目のサイズを説明
VO + Command + F3を2回
→VOカーソルのある項目の位置を説明
VO + アクセント
→ウィンドウを移動する
VO + チルダ
→ウィンドウのサイズを変更する
VO + F5を2回
→マウスポインタの位置を説明(画面左上隅から)
VO + F5を3回
→マウスポインタの位置を説明(ウィンドウ左上隅から)


マウスポインタを文字に重ねたら、指定の間を取ってから読み上げる

このオプションを有効にすると、
テキストにマウスポインタを重ねて静止させ、
スライダで設定した時間が経過すると、
その内容を読み上げます。

ロービジョンのユーザーで、
文字の位置は判別できるけれど
もじが読みにくいという場合に役立つ設定です。


「ヒント」たぶ


この設定では、Voiceoverの操作方法に関する
ヒントの読み上げ方法を設定します。


VoiceOverカーソル内の項目の使いかたを読み上げる

チェックを入れると、
Voiceoverカーソルのある項目で実行できる基本操作を説明します。

例えばチェックボックスに
Voiceoverカーソルを合わせ、
項目の内容を読み上げたら、少し間を置いて、

「現在、あなたはチェックボックス上にいます。このチェックボックスを選択または選択解除するには、コントロール-Option-スペース を押します。」

と読み上げます。
ある程度Voiceoverの操作に慣れたら、
この設定は無効にしておくと快適です。
無効に設定しても、

VO + Shift + N

コマンドで手動で読み上げることができます。


項目にヘルプタグがあるとき

Voiceoverカーソル下にある項目に
ヘルプタグが設定されている時の読み上げ方法を設定します。
意外と役に立つヘルプタグもあるので、
ヘルプタグを読み上げる設定にし、
読み上げまでの時間を少し長めに調整するのが良いでしょう。

・ヘルプタグを読み上げる
項目の内容を読み上げた後、
設定されたヘルプタグを読み上げます。
例えばこの設定のポップアップメニューには

「項目のヘルプタグを知らせる方法を選択します。」

というヘルプタグが設定されています。

・通知を読み上げる
項目の内容を読み上げた後に
「この項目にはヘルプタグがあります。」
と読み上げます。
ヘルプタグの内容は
「VO + Shift + H」キーで確認できます。

・何もしない
項目の内容を読み上げるだけで、
ヘルプタグは通知されません。

ヒントを読み上げるまでの時間

上記の2つのヒントを読み上げるまでの
時間を設定します。
デフォルトは0.5秒です。



詳細度ローテーションを使った設定変更


よく使用される詳細度設定は、Voiceoverユーティリティだけでなく、
詳細度ローテーションでいつでも変更できます。
詳細度ローテーションを開くには、

VO + V

を押します。
左右矢印キーで設定項目を選び、上下矢印キーで設定値を選択、
Returnキーか「VO + スペース」で決定、
キャンセルするときはESCキーを押します。

調整できる項目は以下の7つです。
・読み上げ詳細度
・句読点
・入力読み上げ
・テキスト属性
・数字
・大文字
・状況が変更されたとき

特に「句読点」と「テキスト属性」は
個人的に頻繁に切り替えたいのでありがたい機能です。


まとめ


2回にわたり「詳細度」設定について解説しました。
同じ読み上げも、カスタマイズ次第で
受け取れる情報がかなり変化することがわかるでしょう。

Voiceoverを初期状態で使っているなら、
一度設定を見直して調整してみることをお勧めします。

ユーザーの見え方やスキルに合わせた最適な設定にチューニングすることで、
さらに快適にVoiceoverを活用できるのではないでしょうか。

※この記事はmacOS 10.13.4で執筆しました。


[Mac]Voiceoverユーティリティ] 詳細度設定(1/2)


見え方に合わせた最適な設定を


MacのVoiceoverでは、画面の読み上げ方法を
細かくカスタマイズできます。

Voiceover設定の中で、
読み上げの「情報量」を設定するのが、
Voiceoverユーティリティの「詳細度」です。

画面の見えにくさや、Voiceoverの習熟度に応じて、
ユーザーに合わせたカスタマイズが可能です。
全盲なら余すことなく画面の情報を得られるようにしたり、ロービジョンなら見えにくい部分だけを集中して読み上げさせる、といった具合です。
またVoiceoverになれていないユーザーなら、操作方法をヒントとして読み上げさせることもできます。

必要な情報を漏らさず読み上げさせるのはとても重要ですが、不要な読み上げは耳への負担になったり、情報を混乱させる原因にもなります。
自分の利用スタイルに合わせ、必要な情報だけを読み上げさせるのが快適なVoiceover環境を構築するコツです。

Voiceoverの詳細度設定は、
VOをオンにした状態で

VO + F8

を押してユーティリティを起動し、カテゴリのリストから「詳細度」を選択します。

では、ここからは詳細度の各設定について
解説して行きます。


「スピーチ」および「点字」たぶ


Macで扱われる要素(テキスト以外)を
、どのくらい詳しく説明するかを設定します。
「スピーチ」では音声での説明、
「点字」では更新式点字ディスプレイでの表示の詳細度を個別に設定できます。

この設定はアプリケーションウィンドウの要素だけでなく、Web上の要素にも影響します。
設定を変更するには「デフォルトの読み上げ詳細度」の
プルダウンメニューを押して
「高」「中」「低」
から洗濯します。

たとえばWebコンテンツ上のリンクの説明は、
「高」では訪問済みを読み上げますが
「低」では省略します。

またプルダウンメニューやチェックボックスなどでは
「低」に設定すると、要素のタイプ、
つまりそれがポップアップメニューやチェックボックスであることの説明を省略します。

またラジオボタンやリストでは「低」に設定すると、
その項目がそのグループの何番めかを説明しません。

音声だけでVoiceoverを使うなら、
「高」の設定が良いでしょう。


追加の読み上げ詳細度のオプション

「追加の読み上げ詳細度のオプション」の開閉用三角ボタンを押すと、
「カスタム詳細度」の表が表示され、
macOSにある各要素の詳細度を細かくカスタマイズできます。

初期状態では全て「デフォルト」になっており、
「デフォルトの読み上げ詳細度」で指定した詳細度が適用されます。

個別に詳細どを設定するには、
各要素のプルダウンメニューを押して、詳細度を変更できます。

また「カスタム」を選択すると、
説明する項目を指定したり、読み上げる順序も変更できます。


「テキスト」たぶ


ここではテキストの読み上げに関する
詳細度を設定します。
Webで記事を読んだり、メッセージを読む時、
またテキストを編集する時に影響する設定です。


句読点

通常のテキスト読み上げ時(1文字読みでない)に、
句読点や記号をどの程度読み上げるかを設定する項目です。

・すべて
空白を除く全ての文字(タブや開業含む)が
読み上げられます。

・一部
文字と「+」や「=」など一部の記号だけを読み上げます

・なし
文字だけが読み上げられます

試した範囲では、「なし」で読まれず、
、「一部」で読まれる記号は、
半角のプラスやイコールなど一部に限られるようです。

また全角記号の一部(イコールや¥など)や
半角記号の一部(シャープやドルなど)は、
「一部」「なし」どちらの設定でも読まれます。
想像ですが、このような記号は「通常文字」の扱いになっているものと考えられます。
つまり記号は、

・「全て」設定でしか読まれないもの
・「一部」でも読まれるもの
・どの設定でも読まれるもの

の3パターン存在するようです。
ちょっとわかりにくいですね。

あと、これは別の問題だと思うのですが、
全角の記号の中に、「すべて」でも
読み上げられない文字が存在します。
(たとえばカギカッコやアスタリスクなど)
現時点では、これらの文字を確認するためには
1文字ずつ読み上げさせるしかなさそうです。

句読点設定に戻りますと、
すでに書かれた文章をスムーズに読むなら「一部」、
編集したテキストにミスが無いか確認する時だけ
「全て」に設定する運用が良いでしょう。
句読点の詳細度設定は詳細度ローテーション(VO + V)から素早く変更できます。


繰り返しの句読点

連続した句読点の読み方を指定します。
句読点だけでなく、一部の記号にもこの設定は有効です。

・回数と共に読み上げる
連続した句読点の数に続いて句読点が読まれます。
たとえば「。。。。。。(句点6個)」は「ろく まる」と読みます。

・最初の○回
「○回」に指定した回数だけ読み上げます。
たとえば「2回」に指定した場合、
「、、、、。。。。」(読点4個、句点4個)は
「てんてん まるまる」と読みます。

・常に読み上げる
すべての句読点をそのまま読み上げます。

なおこの設定は前述の「句読点」設定で読み上げられる句読点や記号に対して有効です。
句点や読点、感嘆符や疑問符などは、句読点設定「すべて」で読まれます。
一方「・(中黒)」はどの句読点設定でも読まれます。
半角記号についても同様の読み上げを行います。

しかし半角「$)ドル)」などこの設定が反映されない記号があったり(半角シャープは有効なのに)、
半角「%(パーセント)」など、句読点設定が「すべて」および「一部」の時と、
「なし」の時で挙動が違う記号があったりします(半角シャープは大丈夫なのに)。
この辺りもかなりややこしいので注意ですね。


タイプ入力中の読み上げ

文字入力中の読み上げ方法を設定します
「文字と単語」「文字」「単語」「なし」から選択します。

・文字
英数、かなどちらの入力モードでも有効です。
キー入力した文字をその都度読み上げます。
逆に言えば、「文字」を指定しないと入力中は無言です。

・単語
半角英数入力で有効な設定です。
キー入力を止めて少し待つと、
直前のスペースもしくは記号以降の文字を単語として読み上げます。
数字とアルファベットは個別に読み上げられます。

いずれもタイプミスを防ぐのに有効です。
ただ「単語」設定では、日本語音声の発音が微妙なので注意。


H5カーソルを移動するとき

ヤジルシキーでカーソルを操作し、テキストを1文字ずつ読み上げる時の
挙動を設定します。

・カーソルが通ったテキストを読み上げる
カーソルが通過した文字を読み上げます。

・カーソルの右側のテキストを読み上げる
常にカーソルの右側の文字を読み上げます。

「右側」設定では、カーソルを前後に行き来したときに、
折り返した文字を重複して読まないため
、固定テキストを読む場合に効率アップします。

しかしテキスト編集で文字を削除したり挿入するとき、
カーソルの1文字先を読み上げてしまうため、
慣れないと違和感があります。

テキスト編集を行う場合は、カーソルの位置を把握しやすい
「通過」設定がわかりやすいでしょう。


テキスト属性が変わったとき

テキストを読み上げている途中、テキストの属性に変化があった場合に
通知する方法を設定します。
テキスト属性とは、文字に使用されているフォントやサイズ、スタイル、文字揃えなどのことです。

・属性を読み上げる
属性に変化があれば、その属性を読み上げます。
慣れれば音声だけで文書のデザインを想像できますが
属性の読み上げとテキストの読み上げが混在すると、
内容を把握しにくくなる場合があります。

・トーンを再生
サウンドエフェクトを鳴らして属性の変化を知らせます。
木琴を叩くような「コツン」という音です。

・何もしない
テキスト属性に変化があっても、
何も通知されません。

特に事情がなければ「トーン」に設定しておき、
属性を調べたいときはテキストを選択して
「VO + T」を押せば調べられます。


スペルミスのある単語があったとき

検索フィールドなどに入力した英単語のスペルチェックを行い、
スペルミスがあった場合の通知方法を設定します。

・属性を読み上げる
スペルミスの単語があれば、
まず「スペルミス」とよんだ後、その単語を読み上げます。

・トーンを再生
スペルミスの単語を読み上げる前に、
サウンドエフェクトを鳴らします。
金属のバネを弾くような「ビン!」みたいな音です。

・ピッチを変更
スペルミスの単語を読み上げる声のピッチが変化します。
Kyokoの場合はかなり野太い声になります。

・何もしない
スペルミスがあっても、何も通知されません。

リンク/添付ファイルが存在するとき

Voiceoverカーソルの位置にハイパーリンクや添付ファイルが
見つかった時の通知方法を設定します。

Webを連続読みさせていて、リンクの場所で
いちいち「リンク」と読み上げられて鬱陶しい時は
「トーン再生」か「ピッチ変更」に設定しましょう。

・読み上げる
対象の項目を読み上げる前に、
「リンク」もしくは「添付ファイル」と
読み上げてから内容を読み上げます。

・ピッチを変更
音声のピッチを変化させて項目を読み上げます。
Kyokoの場合は少し低い声で読み上げます。

・トーンを再生
項目を読み上げる前にサウンドエフェクトを鳴らします。
カスタネットを鳴らすような「カチッ」みたいな音です。

・何もしない
リンクや添付ファイルが見つかっても、
何も通知されません。


数字の読み上げ

数字を単語として読み上げるか、
数字のまま読み上げるかを設定します。

・単語
数字を単語として読み上げます。
カンマはもちろん、ピリオド以降は小数点以下として読みます。
マイナス符号は先頭についている時は正確に読みます。
たとえば「-1,234.5」は
「マイナスせんにひゃくさんじゅうよんてんご」と読みます。
なお全角数字も同様のルールで読み上げます。
ただ「1234」を「ワンツースリーフォー」と読むなど一部例外もあるようです。

・数字
数字を文字のまま読み上げます。
この場合、句読点読みの設定が「全て」になっていないと、
符号やカンマ、ピリオドが読み上げられません。

なお漢数字は、この設定にかかわらず単語として読みます。
たとえば「一二三」は「ひゃくにじゅうさん」と読みます。
ただし「七五三」のように日本語として存在する場合はそちらの読み方が優先されます。


大文字を読み上げるとき

アルファベットの大文字と小文字を
区別するための設定です。
この設定は半角、全角どちらにも適用されます。
ただし半角と全角を区別する方法は(初期状態では)ありません。
(「読み方」に登録する方法で対応可能)

・ピッチを変更
1文字読みした時に、大文字をピッチ変更して読みます。
Kyokoの場合は、少し上ずった声で読みます。

・トーンを再生
1文字読みした時に大文字の場合、
文字読みと同時にサウンドエフェクトがなります。
「キン!」という少しこもった金属音です。

・大文字を読み上げる
1文字読みした時に大文字の場合、
文字を読む前に「大文字」と読み上げます。

・何もしない
大文字を読み上げるときも、何も通知されません。


テキストを削除するとき

Deleteキーで文字を削除した時の読み上げ設定です。

・ピッチを変更
、削除した文字を、ピッチを変えて読み上げます。
Kyokoの場合は少ししゃがれた声です。

・トーンを再生
削除した文字を通常のピッチで読み上げ、
同時にサウンドエフェクトがなります。
「ピッ」という高い音です。

・読み上げる
文字を削除した時に
「○を削除」と読み上げます。

・何もしない
通常のピッチで削除した文字を読み上げます。


次回は「通知」と「ヒント」


長くなってしまいましたので、
残りの「通知」と「ヒント」タブは
次回の記事で書きます。
これに加え、詳細度ローテーションのお話もあります。
よろしければお読みください。


※この記事はmacOS 10.13.4で執筆しました。

ひとまずブログを統一します

BloggerがVoiceoverで非常にアクセスしにくくなってしまったため、しばらくはMac関係の記事も メインのブログ にエントリーすることにしました。ブログの切り替えが非常に難しいんですよ。 改善されればまたこちらにもエントリーするかもしれませんが。 よろしくお願いします。